トリコモナスの潜伏期間と治療法

トリコモナスは、水中でも長時間生存可能な0.1mm程度の病原虫トリコモナスが尿路器官や生殖器官の粘膜に寄生する事が原因で発症する感染症の1つであり、男性と女性で大きく潜伏期間や発症リスクが大きく異なります。
男性は、トリコモナスに感染しても約90%は自覚症状がないだけで無く、発症する事もありません。
また、発症したとしても3週間程度で自然に症状が消失します。

トリコモナスは、女性の感染患者が治療を受けて完治させてもパートナーの男性の感染患者に自覚症状が無い為にピンポン感染してしまい悪循環を繰り返す感染患者も多くいます。
女性は、男性の感染患者に比べて発症率がはるかに高く、3日間~10日間程度の潜伏期間を経て50%~80%の感染患者が発症します。
しかし、無症候感染患者の30%~40%も半年以内に発症する事から感染患者全体の15%~35%が潜伏期間だけで終わる事もあります。
感染患者が幼児~高齢者まで幅広く潜伏期間に個人差が大きい事からトリコモナス原虫が何年も体内に潜伏寄生していた感染患者もいます。
トリコモナスは、病原菌となるトリコモナス原虫が酸性の環境や乾燥した環境では生息が出来ない事から器物を介した間接的な接触感染の感染リスクが低く、原虫が直接粘膜に接触する性行為による感染患者が最も多くなっています。
原虫が水中でも長時間生息可能な事から浴槽やプール、便座、タオルなどの共同利用によっても稀に感染する事があります。

トリコモナスの治療は、ピンポン感染を予防する為にパートナーと2人揃っての治療が望ましいとされています。
ニトロイミダゾール系の抗生物質メトロニダゾールを主成分とするフラジールによる薬物療法が多く、他の抗生物質とは異なり耐性を獲得し難い特徴から多くの医療機関で処方されています。
フラジールは、主成分のメトロニダゾールがトリコモナス原虫の体内で有機化合物ニトロソ化合物に変換される事で活性化されます。
ニトロソ化合物が原虫の2重螺旋構造のDNAを切断する事で生息自体を不可能とする殺虫効果を発揮し、治療期間の短縮及び完治させる治療薬です。

男性・女性のトリコモナスの症状

トリコモナスは、性別や年齢、体質などにより潜伏期間が大きく異なるだけで無く、男性と女性で発症後の症状も大きく異なります。
男性の感染患者は、尿道内にトリコモナス原虫が寄生すると共に増殖するので透明色~乳白色の膿の排出や灼熱感を伴う排尿痛、頻尿などの症状が現れる尿道炎症状を発症します。
しかし男性は尿路期間と生殖器官が一体なので排尿により原虫が体外に排出される事もあり3週間程度で症状が消失します。
男性の感染患者は、発症しても3週間程度で症状が消失する事がほとんどです。
更に原虫が尿道から上行感染すると膀胱直下に尿道を包み込む様に存在する前立腺や精巣上体に炎症を引き起こし、高熱や下腹部に強い疼痛などの症状が現れます。

女性の感染患者は、膣や子宮頸管部、下部尿路器官の粘膜にトリコモナス原虫が寄生すると共に増殖するので悪臭を放つおりものの排出や性行痛などの症状が現れる膣炎や子宮頸管炎、排尿時に強い痛みを伴う尿道炎を発症します。
無症候性の感染患者は、適切な治療が行われず放置される事が多く更に病原虫が上行寄生して卵管炎を発症してしまいます。
卵管炎は卵管で炎症が発症するので卵管の末端に位置する卵巣にも同時に炎症を発症させる事が多く、炎症による卵管の狭窄や閉塞、卵巣の異常により子宮外妊娠や不妊症の原因となります。
軽度の炎症時にはほとんど自覚症状が無い事から放置してしまう感染患者も多くいます。
卵管経由で原虫が臓器を覆う透明の腹膜や肝臓の周囲まで原虫が上行寄生してしまい、下腹部や右腹部に強い痛みや高熱を伴う骨盤腹膜炎や肝周囲炎を発症してしまいます。
女性の感染患者は、男性に比べて重症化するリスクが高いので少しでも違和感を感じたら、速やかにパートナーと2人揃って感染検査及び治療を受ける方が身体的にも精神的にも負担が少なく済みます。