クラミジアの潜伏期間と治療法

クラミジアは、菌単独では増殖する事が不可能な偏性細胞内寄生菌クラミジア・トラコマティスに感染する事で発症する性行為感染症です。
一般的に感染から1週間~3週間程度の潜伏期間を経て発症しますが、感染患者によっては感染から1カ月経過しても発症しない事もあります。
クラミジア・トラコマティス菌は、菌自体が他に作用する機能を持たない封入体を形成し、封入体内で増殖するので一般的な細菌に比べて炎症の発生リスクが1%程度と非常に低いのです。
人間の免疫システムが正常に機能し難いと共に免疫抗体も機能する事が無く発症しない潜伏期間が長くなってしまう感染患者がいます。
また、クラミジア・トラコマティス菌は、封入体内で2分裂の増殖を行うと共に感染細胞を破壊して拡散する1回の増殖サイクルを48時間~72時間程度かけて行います。
クラミジア・トラコマティス菌が急激に増殖しない事から炎症の発生リスクが非常に低いと共に免疫抗体が正常に機能せず、発症しない潜伏期間が長くなる事があります。

クラミジアは、日本国内に100万人以上の感染患者がいるとされ、厚生労働省の性感染症報告数によれば平成28年度には24,396人がクラビットなどの抗生物質による薬物療法を受けています。
クラビットは、ニューキノロン系の合成抗菌薬レボフロキサシンを主成分とするDNAジャイレース阻害薬です。
クラミジアの治療においてはレボフロキサシン換算で250mgを1日2回の服用もしくはレボフロキサシン換算で500mgを1日1回の服用を5日間~1週間程度継続する必要があります。

クラビットは、主成分レボフロキサシンの濃度が高いほど殺菌的な抗菌作用が増強される濃度依存性抗菌薬です。
250mgを1日2回の服用よりも一度に高用量である500mgを1日1回服用する方が抗菌作用が高いと共にクラミジア・トラコマティス菌の耐性獲得抑制にも有効な治療法です。
クラビットは、抗菌薬の中では比較的副作用の発生頻度が低く安全性の高い治療薬ですが、稀に軽度の胃腸症状や皮膚症状を発症する事もあります。
服用者の体質や体調などによってはアナフィラキシー・ショックや偽膜性大腸炎、急性腎不全などの重篤な副作用を発症する事もあります。

男性・女性のクラミジアの症状

クラミジアは、1週間~3週間程度の潜伏期間を経て発症しますが、男性と女性では症状が大きく異なる感染症です。
女性は、性行為で侵入したクラミジア・トラコマティス菌が膣内や子宮頚管部粘膜で増殖してしまい膣炎や子宮頚管炎を発症します。
おりものの異常や不正出血、性交痛などの症状を健康不良や月経不順と思い込んでしまう事に加え、女性の感染患者の約8割に自覚症状が無い事から放置され重症化する感染患者が数多くいます。

クラミジアは、放置すると子宮頚管部粘膜で増殖したクラミジア・トラコマティス菌が卵管や卵巣まで上行感染してしまい、突然の発熱や下腹部痛、膿性のおりものの排出などの症状を伴う卵管炎を発症します。
特に卵管炎は発症しても無症状な感染患者も多い事から更に感染患部が広がり骨盤腹膜炎や肝周囲炎を発症してしまいます。
骨盤腹膜炎は、発症初期には発熱や吐き気、腹部の圧迫痛などの強い下腹部の痛みや慢性的な便秘、慢性的な下痢などの症状が現れ、肝周囲炎は発熱や右脇腹に強い疼痛などの症状が現れます。

男性は、性行為によりクラミジア・トラコマティス菌が尿道に侵入すると共に増殖するので灼熱感を伴う排尿痛や掻痒感、透明から乳白色の非粘着性の膿の排出などの症状が現れる尿道炎を発症します。
クラミジアに起因する尿道炎は排尿痛よりも掻痒感が強い感染患者が多く、感染患者の約5割に自覚症状が無く放置され重症化する事が多くあります。

クラミジアは、尿道炎を放置すると尿道で増殖したクラミジア・トラコマティス菌が前立腺や精巣上体、精巣まで上行感染してしまい前立腺炎や精巣上体炎などの発症リスクが高くなります。
前立腺炎は、尿道を包み込む様に膀胱の下にある為、炎症により尿道に狭窄が発生し排尿困難や頻尿などの症状が現れます。
精巣上体炎は、感染側の睾丸の痛みや38度を超える高熱、睾丸の腫脹による歩行困難などの症状が現れます。